鈴鹿に行って、帰ってきました

自分の無神経っぷりとか不用意さに自信があったので、ネットでしばらく黙ってました。それで色んなことを考えた。不用意なことして大事な友達を傷つけちゃったらどうしようってことがやっぱり一番に頭にあって、すごい自分本位な人間なんだなー自分。って思ったりした。
(以下、どんなに自分が勝手だったかを鬱々と振り返るポスト&目が滑るポエム気味長文なので友達には読まないでほしい)

場所が鈴鹿じゃなくて、例えば去年あって今年消えたあそことかだったら、旗とかちゃんとやらなかったんじゃないの、そもそも運営がryとか言ってたかもしれないし、当事者のドライバーがあんまし好きじゃないなって思ってる人だったら、もっともっとひどいこと言ってたかもしれない。
Twitterをみた人は知ってると思うけど、私は日曜日スタート直後に帰ってきたので(なおさんの勇気ある決断に背中を押されました、ありがとう!)、なんで土曜日の午後にレースやってくれなかったんだろう…とは今でも思っていますし。ものすごい快晴で日差しもじりじりで、素敵なレースになったと思うからさ。チケットの払い戻しのことか、放送時間の件とか、大人の事情があったんだと思いますけれども。

ひとつでもパズルのピースが違っていたらこの未来は変わっていたのかなって思ってしまうけど、色んな要因が全て重なり合って起きた事故だと思うから、原因は断定できないと思う。web上で「原因は○○」って言い切ってしまうような人は本当にどうかと思うし、おまえはFIAの調査委員かっていう気持ちにもなるし。

あと、私はDiffuse Axonal Injuryって意味を全然分かっていなくて、「びまん性軸索損傷」っていうビアンキの症状はどんな状態なのかも理解していませんでした。(完全に理解っていう意味ではもちろんなくて、骨折っていったら骨が折れてること、みたいなレベルで)
レキップの飛ばし?っぽい記事をRTしたり、無闇に前向きなことを言ってみたり、色々軽卒なことをしてしまってとても反省しています。
それ以上に私はF1ファンとしてっつーか、そもそも人としてサイテーだろというようなことをぱっと考えついてしまい、病状がこんな重篤だということが分かっていなかったっていうのは完全にエクスキューズなのだけども、そういうことがすぐ頭に浮かぶ時点で人間のデキがサイテーなんだなということを実感してしまって、落ち込んでいました。ほんとに下衆!人間がペラッペラ!

だけど友達の言葉をそのまま借りると、私も配慮に足りた言葉を選べていたかどうか、悪い感情を吐き散らかしていなかったか、考え直せた機会になったと思う。
ビアンキと彼の家族、彼を愛する人々みんなが、これまでの幸せを少しでも取り戻してくれることを心から祈っています。

それで今年の日本グランプリのことなんだけれども。

「あの事故さえなければほんとに楽しかったんだけどね」って言うのはかんたんだし、最初そう思ってた。でも「最後に事故があったから楽しくなかった」って言うの、言い方すごく悪いけど「楽しかったのにビアンキのせいでだいなし!」って言ってるのとちょっとしか変わらなくない?って思ったの。
気持ちよく「楽しかったです!」って言い切ることはもちろん絶対にできないけれど、日曜日のあの時間まで、2日間3日間、人によっては4日5日、楽しかったじゃん。鈴鹿サーキットで働いてくれたたくさんの人、三重交通の人、近鉄の人、ホテルの人、飲食店の人、たくさんの人のおかげで楽しかった思い出は、楽しかったままでいいと思うんだ。
「楽しかった!」と「ビアンキのことすごく気にかけてこれからも祈ってる」は、別にできる人は別でいいと思う。
だから私はここに鈴鹿の記事、今年も書くね。
現地で書いちゃったものもあるから浮かれポンチのところもあるけど。

もちろん今「楽しかった!」なんて言えないものすごくつらい状態の人や、これまでずっと大好きな場所だった鈴鹿がつらい思い出の場所に変わってしまってどうしていいかわからないくらい悲しい人は、それとこれとを別に考えることは当然できないと思う。でも、ちょろちょろ写真とかアップしたり、ふつうの生活に戻っていっている人も、特別なことじゃないだろうなって。

こういうことがあると、SNSの発言て難しいよね。
会社の人にもらったアメがおいしくても、今まではちょろっと呟いていたけど、うーん…って思ったりするし。
#ForzaJules #DressForJules とか3分くらい前に書いておいて「全日本もう帰りたい協会」とか、ちょっと書けないよね。(ちなみに私は、会社に行く前から帰りたい協会に入ってますけど。)
鈴鹿から帰ってきて、タイムライン見てもあんまりみんながネットにいないように見えるのは、そんな理由もあるんじゃないかなって。

私達はもちろんF1ファンなんだけれど、ふつーに会社行って働かなきゃいけないし、休んだ分の鈴鹿のおみやげも配らなきゃいけないし、その時に「なんか今年ケガ人が出たんでしょ?」って話ふくらまそうと思って話しかけてくれる人とも話さなきゃいけないし、そもそも会社行きたくないし、洗濯GPもあるし、ロシアGPのHDD容量なかったり、肩は凝ってるし、エレベータの鏡に写る自分が太ってて鬱になったり、それなのに22時まで残業して途中でおかし食べたりして、大学の時みたいに「もう休む!」とかできないし、日常生活もやんなきゃいけなくて、大変だよね。
でもそれまで息抜きにしてたSNSは、病院のニュースや、ハッシュタグや、赤いもの着ようって呼びかけるツイートであふれてて、なんか「残業やだ帰りたい」とか、「今日のお昼ごはんおいしかった」とか、何となく書きにくいような気がしちゃう。

でもきっと、ずっとこんな状態では、いられないから。
ネットではけろっと日常モードに戻っているように見えても、心のどこかでビアンキを応援してるのは、みんな一緒だと思う。
ゲイリー教授の言葉を借りて、C’mon Jules, go for it!
私は少しずつ日常に戻っていくけど、会社のデスクに写真を貼って、自分に思い出せる余裕があるときに、お祈りするからね。

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【レースの焦点】事故は回避できなかったのか – 今宮雅子さん
実録…ビアンキ事故発生から深夜まで 唯一病院に入った記者が明かす混乱の現場 – 田口浩次さん
FIA国際モータースポーツ競技規則 付則H項

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