ステラ「彼をトップに戻してみせるよ」

Corriere della Seraに載ったイタリア語の記事をTaniaS姉さんが英訳してくれたので更に日本語訳してみた。元記事はこれです。
「ライコネンは僕に対して秘密がない。彼をトップに戻してみせるよ。トリック?彼には重要なデータだけを伝えることだ」
2年前、キミは彼のフェラーリでの初めてのレース(そして優勝したレース)にメルボルンへ赴き、勝利の前にピットは本物のパニックの瞬間を味わった。「彼は一体全体何を言っている?」ヘッドセットでライコネンの囁きを理解するのは未だ難しいことであったし、その時は誰も慣れていなかったので余計にだった。その上、無線がきちんと機能していなかった。ドライバーはピットに呼びかけることができたが、ピットはドライバーと連絡を取ることができなかった。あるとき、キミのパフォーマンスエンジニアである若いエンジニアが手を挙げた。「彼は、ラップダウンのクルマにブルーフラッグを出して欲しいと言っているんだと思います」
その時から、彼は最も経験豊富な『キミ語翻訳者』になった。彼は、キミが話していることを分かるだけでなく、ミステリアスなライコネンの惑星に自由にアクセスできるように思われた。この若者──名前をアンドレア・ステラといい、37歳の、オルビエート(イタリア)で生まれ、Michelaの夫でEdoardoとFedericoの父である空力エンジニアが、このフィンランド人ドライバーとチームの間とを繋ぐ担当エンジニアとして配置されたのは、偶然ではなかった。
彼はエンジニアのコーディネーターになったクリス・ダイヤーの後任となった。「それは言葉の問題でも、理解力の問題でもない。コンピュータを相手にしている時が、クルマにいるドライバーを相手にしている時と近い。文脈上の意味を常に考え、彼と話していることについて常にイメージするんだ」彼に表立った役割というのはなかったが、今ステラはより前線で働くようになった。
「僕は既にドライバーとデータとの間のインターフェースだったんだ。パフォーマンスエンジニアや車両のエンジニアはテレメトリーを見て、クルマのあらゆる面のパフォーマンスを向上させるのが仕事だ。カーブを分析し、ドライバーにタイヤやエンジンブレーキのうまい使い方を伝える。今の僕の仕事は少し分析的ではなくなったけど、グループのマネジメントにより多く関わるようになった」
ステラは今、キミのピットクルーチームをまとめている。
「他の人の調整をしなくちゃいけないんだ。人、時間(テストからその日のプログラムのスケジュールまで)を管理して、優先すべきことを選んで、レギュレーションを学んで。そして、レースでドライバーをマネジメントする。楽にドライビングできる状況を整えてあげることがメインの目的だ」
キミについての話に戻ると、『F1の神秘』は彼(ステラ)に対して秘密がないという。「キミは情報の本質を欲しがる。そして、口頭でのものよりも、視覚的なコミュニケーションを好むんだ。彼とミーティングを3時間するのは意味がない。図と明確なメッセージを書いたシートをあげた方がいいんだ。美しい色で作られているとよりいいね」彼はシューマッハではない。クルマをテストすることと長いテクニカルな論文が同じようなものだったその人ではない。「ミハエルは演繹的な論理基準において選択をするのが好きだった。キミは、彼の信条や認識に基づいた、より直観的なアプローチをする。これはコミュニケーションの観点でいえばそれほど有効ではないのだけれど…」
ステラは物静かな人で、コントロールを失うのを好まない。「僕は争いが好きではないんだ」彼は静かにはっきりと話した。キミからの無線をヘッドホンから聞くと、彼はいつもキミに力強く答える。「OK、わかったよ。ありがとう。」しかし彼の巻き毛の下のこけた頬が、若干の緊張を表す。
誤りで失ってしまった1年を取り戻さなければならない責任を感じているだろうか?「感じてないってどの口で言えるんだい?」彼の答えは真実だ。「環境は大きく変化するけど、自分の仕事にただ集中すべきだ。過度に深く考える必要はないと思っている。僕はただ、キミをベストコンディションにしなければならない」そうすれば彼は最後のレースで、「1点差で(優勝)」とキミに告げられるだろう。ダイヤーが2007年にそうしたように。「エクセレントな仕事をしたよ、とキミに言えたら、僕にとっては十分だよ」

2 people like this post.