ノーズ自習②:185mmの謎(私なりに解決)

「改定の狙いは何だったのか」ってことと、おぐたんの昨日のツイートを見ながら考えたら、なんとなーーーーく納得しました。

http://twitter.com/SidOgura/statuses/428180663464771584

「醜い」「変な形」ばっか言われているのを見るとなんかつらいから、しょうがなく(あるいは良し悪しは別で戦略的に考えて)この形になったんだってことをなんとか伝えたい!です!
長いけど読んでネ。
(前編はコチラ)

まず、昨日「テクニカルレギュの根拠がわからない」って書いたんですが、なんと@ScrabsF1 神から答えてもらいました…神ありがとう。

185mmって本文中に二か所しか出てこなくて、ここじゃないのでは?って思った理由はピンクになってなかったからなんだけど、考えてみたら「前の版」との差分がピンクだもんね。2013年との差分じゃないもんねorz しかも「サバイバルセル」のこともわかってなかった。
あほでしたー。

その15.4.3を読む前に「基準面」を理解しておかないと話がしっくりこないと思いますので書きます。私、”reference plane”(基準面)は地面かと思ってたんだけど、Drawing 7(PDFの81ページ)をご覧になってください。

どこwwwww
このファイルを”reference plane”で検索してみるとわかりますが、definitionがないわけですよー。そもそも「地面」っていうのもどう定義すんだって話だし。。。
一般的には「車体の底の一番低い部分を指す」っていうのが通説みたい。

この「基準面てどこ」問題はテクニカルレギュを齧り始めた人がしばしばぶつかる問題であるらしく、ぐぐってみると色々なフォーラムで取り上げられています。

このフォーラムのScarbsさんはおそらく@ScarbsF1 神だと思うんだけど、

Ciro Pabon
I think this is an excellent question. It’s not in the definitions. You only have this as an approximate definition: 

3.12 Bodywork facing the ground:
[2014年仕様は
With the skid block referred to in Article 3.13 removed all sprung parts of the car situated from 330mm behind the front wheel centre line to the rear wheel centre line, and which are visible from underneath, must form surfaces which lie on one of two parallel planes, the reference plane or the step plane. 
(…) The step plane must be 50mm above the reference plane.]

So, my interpretation is that the reference plane is the lower plane of the car facing the ground, which, by 3.12.1 must be a flat surface.

Ciro:
いい質問だと思う。明確な定義が書かれてないからね。このぼんやりとした定義があるだけだ。
3.12.1 スキッドブロック(3.13章参照)以外、フロントホイールセンターラインとリアホイールセンターラインから前後330mmの箇所に取り付ける全てのパーツは、下から視認すると、基準面あるいはステップ面という二つの並行した面のどちらかの上につけなければならない。(中略)ステップ面は、基準面より50mm上方でなければならない。

だから、基準面というのは車体の底の面のことだと思う。3.12.1の面はフラットな面に違いないから。

Scarbs
The reference plane is indeed the part of the floor, that the planks attached to, i.e lowest part of the car (plank excluded). this is the part of the of the car that is used as a datum for all other measurements. 
the upper section of floor flanking the central reference plane os the “step” plane.

Scarbs:
基準面はまさに、フロアの一部だ。底板が付けられているところ、すなわち、底板を除いた、クルマの一番低い部分だ。全ての測定値のためにデータとして使われる。
中心の基準面の側面に位置しているフロアの上部が「ステップ面」。

というようなことで、まあざっくりと「車体の底の部分」って思っておけばいいでしょうか。

そしたらさ、例えば、
ミッドランドの車体の底が地面から5cmのところだったとするじゃん。そしたらノーズの高さは185mm+50mmで235mmでしょー
ジャガーの車体の底は地面から6cmでした、したらノーズの高さは185mm+60mmで245mmじゃん。ジャガーの方がノーズの位置高いじゃん。
みたいなことになるべや。

って思ったんだけど、「車体の底からの高さ」は各チーム一定になるわけで、極端に車体の底が低かったりするチームとかいないでしょ、各パーツの高さは色々と規定があるから、それに合わせて車体を作ると、底は大体同じような位置になるでしょ、っていうことなんだろうなー。だから「底がたわむ」とかなると「基準面」があやふやになって、文句言われるんですねーきっとね。

で、Scarbs神に教えてもらった15.4.3のセクションBです。
※サバイバルセルとは、Drawing5をみるとわかりますが、いわゆるコクピットと、燃料タンクが入っているところ、ノーズをつけるまでの部分です

15.4.3
衝撃吸収構造は、サバイバルセルの前面に付けなければならない。この構造は、サバイバルセルの不可欠な部分ではないが、堅固に取り付けられていなければならない。
この構造は、基準面から525mm以上の高さに位置してはならない。単一の横断面で水平に放射し、その先端から50mm後ろのポイントで、9000mm2以上の大きさがなければならない。更に:
a) この横断面は、基準面から250mm以上高かったり、あるいは基準面から135mm以下の低さにあってもいけない。

b) このセクションの中心は基準面から185mm以上の位置にあってはならない。また、フロントホイールセンターラインからの距離は750mm以下の位置であってはならない。

つまり「サバイバルセルの前面に堅固に付けなければならない衝撃吸収構造」が「ノーズ」のことで、「単一の横断面で水平に放射し」は「横長ににゅーっとした形状」ってこと
で、
a) 135mm+250mmだからノーズの最大の太さは385mmで、
b) 基準面(つまりは車体の底)から185mmまでの高さに中心点がこないといけない。
と。

去年までは「車体の底から550mmまでの高さ」がノーズ中心位置の上限だったのですが、先が185mmの高さに来るよう、ゆるやかにカーブさせたり、斜めにまっすぐ伸ばしたりすることになったんでしょうね。

「2013年から横断面の最低面積が変わってない」っていうのはおそらく「9000平方ミリ以上」のところでしょう。フィンガー状に細くしたチームは、2013年比で高さが伸びた(550mmから185mmになったので垂直だけでも365mmの違いがある)のに、面積があまり変わっていないのだと思います。なぜなら昨日読んだ通り、軽い方が有利だから。

だけど本来ならこの規則の改定の理由は「安全上の理由」だったはずで、高さを伸ばしておけば面積も比例して増えて「衝撃吸収構造」としての役割が増すことを狙ったんだろうけれども、面積の最低ラインを変えなかったことで、フィンガー状に先を細くして伸ばして、この最低面積に近付けようと思ったチームが出たんだと思います。

見た感じだとフェラーリやメルセデスは、2013年と比べるときっと面積は少し多くなってるんじゃないかなー。規定改正の狙い通り。違うかなぁ。

私は大いに納得したんだけれども、「いや、僕俺私はこう思う」って人がいたらぜひ教えてください。

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