HEROES: Kimi Raikkonen [Red Bulletin Jan 2010] vol.1

今年の1月号のものですが…。べっつんがあってキミのがないなんてこのブログ的にはどうよって思って。↓がいしゅつですが未読のかたはドゾー

近年、’Kimi’の名前は、途方もないF1のスピードとカーコントロールの略称となった。今年はRedBullJuniorWorldRallyチームとのスイッチで、彼のキャリアで最大のチャレンジに向かう。
Words: Werner Jessner

彼のフェラーリF1のカーボンファイバーディスクブレーキはクールダウンしたが、キミ・ライコネンは既に新しいものに移っている。セバスチャン・ロウブが6連続タイトルを獲得しているのと非常に近い、レッドブル・シトロエン・ワールドラリーチームのドライブである。
ライコネンの出現は、WRCにとっての大きなクーデターだ。時折無言になるプレスカンファレンスのパフォーマンス。彼はスーパースターだ。滑らかなターマックのラップよりも、泥と木と氷と雪が並行する宇宙へ、「モータースポーツの頂点」からの転向にも、彼に迷いはない。これは等しく評判の高いワールドシリーズにおける、非常に重大な試みである。

RB: さあキミ、オープンに話そう。覚えている中で一番最初のラリーカーは何?
KR: 兄のフォード・エスコート。もちろん、フィンランド人として、小さい頃からラリーカーを見ていた。アリ・バタネンとユハ・カンクネンのプジョー205 T16が一番好きだった。初めて行ったラリーはたぶん1991年(12歳)の、カンクネンがLancia Delta Integraleで勝った1000 Lakes Rallyだと思う。

RB: ラリードライバーは、幼い頃のヒーローだった?
KR: 子どもの頃、ヒーローはいなかった。個々のドライバーじゃなくて、スポーツ自体のファンだったんだ。僕が子どもの頃、たとえばカンクネンはワールドクラスのドライバーだったから、彼はアイドルだったんだろうな。それから彼に会ったよ。彼はプジョー205と、1980年代のグループB アウディ クアトロをまだ自宅に持っているんだ。うまく頼めば、貸してくれるかもしれない。

RB: それが、サーキットで(レースキャリアを)終われなかった理由?
KR: いつもラリーに参加したい気持ちはもっていたんだけど、僕はF1にすごく早く来たから。[ライコネンはレッドブルザウバーチームにおいて、オーストラリアGPで6位フィニッシュのデビューを飾った時、たった21歳だった] だから、ラリーをするのは難しくなって、我慢しなければならなかった。こんなに遅くなるまでチャンスがなかった – (ラリーに出たとき)僕は30前だった。[2009年ラリーフィンランドに、フィアット Grande Punto Abarthで出場した] F1は、ラリードライバーにとって助けになると思うし、その逆もあると思う。

RB: でも、F1で9年も過ごして、ワールドチャンピオンにまでなったのに、最後にはラリードライバーになるため?
KR: 僕のキャリアがうまくいったってことさ。今は、いいクルマと、適切な人々と一緒に、ラリーに行く時間だ。次のシーズンに向けて他のF1チームと交渉もしていたけれど、100%同意することはできなかった。そうしたらレッドブルが来て、WRCでのドライブをオファーしてくれたんだ。それはすぐに、いいことのような気がした。

RB: 君のようなポジションのレーシングドライバーの多くが、ワールドラリーカーを買って楽しんでいるよね。でも君は、歴史上最高のラリードライバー、セバスチャン・ロウブのいるシーズンへ参戦するために、シトロエンジュニアチームに加入した。難しいとは思わなかった?
KR: 確かに今までで一番大きなチャレンジだ。全てをゼロから学習しないといけない。だけど僕は挑戦することが欲しい。クルマを理解しなければならないし、ラリーも、コドライバー[カイ・リンドストローム]との作業も、すべて。楽しみにしているよ。自分がどれだけできるか知りたいなら、競争しなくちゃ。個人で持っているラリーカーで、森を運転することはこれからもできるよ。

RB: しかし、君が去年ラリーフィンランドでWRCに参加した時、他の転向した人達と比べてもっと専門的なものだったよね?
KR: 何かをしようとするときは、最高のチームとやればいい。僕のクルマはトミ・マキネンのチームによって準備された。彼らはものすごいプロフェッショナルだ。もちろんF1チームよりは小さい活動だけど、彼らはプロだよ。F1よりもラリーではドライバーがより大きな役割を担うとして、ベストドライバーでも、ダメなクルマじゃ勝てない。だから、(自分とコドライバーとの)2人のうち少なくとも1人は、何をしていたか分かるように、経験豊富なコドライバーが欲しかったんだ。僕はトミを通じてカイに会った。クリス・アトキンソンのためにアイス・スパイをしていた、2006年のモンテカルロラリーのときにね。カイは傑出している。彼とトミは一緒にワールドタイトルをとった。カイが、シトロエンスポーツと最初にコンタクトをとったんだ。

RB: WRCに参加することは、2000年にザウバーでテストドライブをした時と同じような感じがする?
KR: ああ、自分の中に若い頃のキミをまた見つけたよ。ワールドラリーカーは、去年ラリーフィンランドでドライブしたS2000より早くてタフなんだ。より多くのパワーがある。難しいシチュエーションから戻れるわけだよ。ターボエンジンじゃないフィアットで横転しようものなら、もうそこで終わりだったよ。

RB: 去年フィンランドでやったロールはどうだった?
KR: 僕が速く行き過ぎたからじゃないんだよ! 正反対。クルマは既にボロボロになり始めていたから、サービスパークまでたどり着きたいだけだった。フィアットはS2000クラスで最速だったわけじゃない。左折しようとしたとき、たぶん2mくらいラインを外して、ひっくり返ったんだ。
RB: どうしてそんな悪いラインを?
KR: 目で見てたけど、耳ではドライブしてなかったんだ。でもラリーでは、コドライバーの言うことに100%集中しなければならない。
RB: それが、まだ君が学習しなければならないこと?
KR: そうだね。ドライブ自体はあまり大きな問題ではないと思う。ステージを知っていれば、普通は大きな違いはほとんどない。違いを生むのは、ペースノート[コドライバーの、ラリーの各ステージの道のコンディションのノート]と、自分自身の信頼だ。これが、僕の主なディスアドバンテージ。僕はArcticラリーとラリーフィンランドしか知らない。残りのイベントは、自分自身で解決しなければならない。
RB: 他のクルーのペースノートは使えるの?
KR: 自分のものを作る方がいい。本当に速くなりたければ、信頼を持たなければだめだ。他の誰かのノートでは、完璧な信頼を持つことは決してできないよ。
RB: 他のドライバーをフォローすることは役立つ?
KR: いや。自分の前にいるクルマがしたことを知るのは別に役立たない。コドライバーが言うとおりのことをしなければならないんだ。

RB: 最初のロールはいつ?
KR: 14歳の時。兄のラーダを転がした。家の近所に、3kmのトラックがあって。マーカス・グロンホルム[フィンランドのWRCダブルチャンピオン]もトレーニングしてたところ。リアにブレーキをかけすぎて、2回転した。ロールバー[車の内部にある安全ケージ]も壊れた。

RB: 君の兄のラミは、ラリーの才能があったみたいだけど、彼はまだドライブしているの?
KR: いいや、彼は今ファミリー・マンだ。ある年では、ミッコ・ヒルボネン[2008年、2009年のWRC2位]に続く2位だったんだよ。

RB: 君の甥っ子たちは、モータースポーツ・バグに捕まった?
KR: もちろん! まだ3歳と4歳なんだけど、もうカートをやっている。クアッド・バイクを買ってあげたよ。

RB: 自分はいいコドライバーだと思う?
KR: 1度、トミ・マキネン[4度のWRCチャンピオン]のコドライバーをやったことがあるけど、ノー。彼を完璧に信頼してたけど、あれはもうやりたくないな。たぶん、テストの間にロウブの横に乗ると思うけど、彼が同じようにしてくれるとは思わない。

RB: シーズンでいくつかロールすると思う?
KR: もちろん。WRCのコースで、バウンドして脇へそれることが何度かあると思う。このスポーツでは誰もがミスをするし、概して、ミスはクルマを破壊することを意味する。J-M・ラトバラ[WRC優勝経験者]とヒルボネンが、初優勝する前に何台壊したと思う? ロールしない唯一のドライバーはロウブだ。彼は例外。

RB: ターマックとグラベル、どちらでうまくいくと思う?
KR: グラベルでもすごく速かったけど、ターマックの方がより僕向きだろうね。雪が一番難しいと思う。雪の路面では、ラインを正確にしなければならない。ブレーキが1メートル遅すぎるのはターマックでは大したことじゃないけど、雪ではよりシャープにターンしなければならない。グラベルを読み取れるようにもならないといけない。ラリータイヤで、あるタイプのグラベルではすごくグリップがあるのに、他では全然なかったりする。

RB: どういう結果を予想している?
KR: 最初の何戦かはタフに違いない。他のドライバーがどんなに速いか分かるまで、どんな個人的予想も控えておくよ。トップ4(ローブ、ダニ・ソルド、ヒルボネン、ラトバラ)にはついていけないと確信してる。

RB: 君のチームメイト、セバスチャン・オジェは、将来のスターと目されている。
KR: うん、彼はすごくいいよ。(自分の力を)測って比べるのに、パーフェクトだ。

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