HEROES: Sebastian Vettel [Red Bulletin May 2010] vol.1

RedBulletin5月号に、ベッテル君のロングインタビューが掲載されています。難しい表現もいっぱいあったけど、言葉の使い方が面白くて、全部読んじゃいました。ぜひとも本物を読んでいただきたいですが、せっかく訳文を作ったのでのっけときます! べっつん★ますます好きになったよ★

今年のタイトルの筆頭候補が、ネズミが怖いだなんて思ってた?
Words: Anthony Rowlinson

自宅での朝食であるかのようだった。セバスチャン・ベッテルはミューズリーの小さいボウルの前に座り、彼のトレーナー、トミ・パルモコスキがジュースを注ぐ。右のこめかみに、ふわふわのブロンドヘアーがカールしている。明るい赤のプーマのハーフパンツ。自信に満ちリラックスした空気が、見えないエネルギーシールドのように彼をとりまいていた。
しかしここはもちろん自宅ではない。KL空港に隣接する、7つ星のパンパシフィックホテルの朝食ブッフェで、リラックスした服を着ているけれども、ベッテルは戦うためにマレーシアにいた。
セバスチャン・ベッテルの場合、ミスマッチは甚だしい。彼は円熟し、堅実で、社会的である。ほとんどの22歳が決してそうでありえないように。しかし彼は弟のようだ。空港の到着ロビーを闊歩し、ロックスターのように歓迎されている人ではなくて、大学から帰省してきて、駅で出迎えてやらなければならない子のように。
彼はほとんど最初から、「弟」のようだった。彼は2007年、19歳のアメリカグランプリでポイント獲得デビューを飾った。グランプリでポイント獲得した最年少ドライバーになったのだった。シーズンの終わりまでは、彼は自信があり、大きな男の子とをミックスするのに十分であった。中国GPでは、2台のフェラーリと1台のマクラーレンに続き、STRで4位を獲得した。(彼はそれが必要だった:1週前の日本で、2位を走行中のRBRのマーク・ウェバーに追突し、自身も3位を失った)彼は、最初のF1フルシーズンでイタリアGPを優勝し(F1の最年少優勝記録)、2009年にはトップチームであるRBRにステップアップ。RBRの5年目のシーズンに、チームの初優勝をもたらした。彼は残り2戦までドライバーズタイトルを争い、2010年の有力候補として地位を高めた。
(今年の)3つのレースのうち、彼は3回ともポールからスタートし、マレーシアGPではマーク・ウェバーとの1-2を達成した。統計的に、とにかく- ベッテルは特別な才能を持っている。危険なウェットコンディションで彼は輝き(常にこれは「天才」ならではの特質である)、ドライでは破壊的な強さを誇る。このようなトラック上での早熟よりをもってしても、レースでの功績に対する尊敬と同じくらいにファンのハートを獲得したのは、セブのオフ・トラックスタイルだ。
ベッテルはおもしろい。個人が統制されがちであるパドックで、漫画の「ひらめき電球」のように目立つ。彼は、クルマに名前をつける。罵ることもある。そして笑う。マレーシアでの崇高な勝利の後、彼はプレスカンファレンスで、「シャンパンでほろ酔いだよ!」とジョークを飛ばした。彼は本当に、彼が笑うのと同じくらい激しくレースをすることができ、RedBulletinによってこの見た目の矛盾について尋ねられることを恐れない。2セットの質問が彼に用意されていた-難しいものと、簡単なもの。ネズミの一件で、我々が彼に投げかける最悪の事態に対する準備ができていることを示した。

RedBulletin(Easy): F1でなければ何をしていた?
SV: 簡単な質問じゃないじゃん! 分からないよ。これが唯一の答え。3年半前に高校を卒業しただけで、どの大学に行こうか考えてたから。僕の夢はレーシングドライバーになることだったから、えっと…”OK, これは事実になる、学校は僕には必要ない”って。もし大学に行くことにしてたら、機械工学の大学にしたかな。技術的な何か。グレーなものよりは、説明することができるもの。
RB:エモーショナルなものではなくて?
SV: うん、そのとおり。
RB: アマチュアレーサーになったら、自分でクルマを修理できるように?
SV: カート時代は、いつも大好きだったよ。僕と父はよくメカニカルなことをやってた。メカニックは、ウィークエンドにつき1500ユーロとか、かかったから。その代わりに僕達は新しいタイヤに投資をして、カートをフィックスしていったんだ。父はすごく向いてたんだけど、彼は25歳じゃないから、自分の担当のところは自分でやらなければならなかった。だけど僕は楽しんでたよ。ドライバーにとって、何かがうまいかなかったとき、ただ「エンジン」とか「タイヤ」とか「クルマ」じゃなくて、何が起こっていて何が失敗したのかを知ることは重要なんだ。僕にとって、物事がどういう風に働くのかは、すごく面白かった。もちろんF1カーを最初から全部説明するのはちょっと違うんだけどね。できる人なんかいないと思うよ! RBRでは、たくさんの人が働いていて、みんなが自分自身の領域をもっている。だけどそれはとっても面白いことだよ。売っているクルマじゃないんだ。全てが独自のもので、(F1の)そのために作られている。全てが一緒になったとき、芸術になるんだ。どのくらいの仕事が注ぎ込まれているか知っているから、サーキットでこれをハードに酷使することをちょっと悪いなと思うけど、これは僕の仕事だ。レーシングのために、作られているものだからね。

ベッテルはシリアルを平らげるにあたりトラブルをかかえているが、くじけずに、彼はもうひとつのカードに手を伸ばした。

RB(Easy): 自分はF1で最速のドライバーだと思う?
SV: ああ、僕にとってはこれも難しい。もちろんそうなりたいけど、この手の類の質問がほんと好きじゃないんだ。たくさんのエキスパート達が向こうにいて、こういう質問を誰もしなかったら彼らは悲しくなるだろうから、彼らに聞いたほうがいいよ。だけど、僕のターゲットはベストになることだ。そのためにここにいる。ただ参加するためだけじゃない。

RB(Easy): ズボンを履いている間の、一番の楽しみは何?
SV: 裸でも自転車には乗れるよ…やりたかったらね。可能性かな。誰でも、一番好きなものや、一番楽しめるものをもっている。僕は普段は動いて、活発でいるのが好き。休める時間も楽しんでいるよ。だけど、僕は太陽を楽しめるから、島に1週間とかいられるタイプじゃない。とんでもないよ!時々は自分自身を休めなければならないけれど、動くのが好きだし、スポーツは何でも好きだし、新しいことにトライしたいし-できれば友達とね- それで、楽しみたいんだ。その後、楽しくやって、どこかに夕食にいくか、火を囲んで座っていたいな。

RB(Easy): 自分のヒーローと乗るために、ツールドフランスをインドアバイク練習マシンで見ていたのは本当?
SV: どうやって知ったの?! まだ夏はやってるよ。同じレベルで、とても正確に、長時間できるから、時々は室内でトレーニングした方がいいんだ。覚えてる中で一番最初にやったのは、13歳のとき。家で、自分の部屋に小さいテレビがあったからそれを自転車の前にセットして。学校から帰ってくるとそれに乗って、テレビをつけて、ツールに1, 2時間参加してた。

RB(Hard): 怖いものはなに?
質問に答える前に、長い空白があった。
SV: 難しい質問だね。一方で人は特定の動物を恐れるよね、僕の場合ではネズミで…
RB: ふざけてる?
SV: 本当だよ。僕はネズミが怖いの。だけど、本当の恐怖っていうのは…うーん…クルマを運転することは怖くない。レースしている時は、恐怖を感じないんだ。コースアウトしたときでさえ、ふつうは何かテクニカルな問題があったとか、ミスしたとか、何かで説明できる。だけどそれは怖くない。ただ「くそっ!」ってだけ。どうなるは分からないから。それよりもっと怖いこと。僕は、恐れっていうのは何か…たとえばこういうこと。ある特定の予想があって、それから、失敗をするか、誰かに負けるみたいな何かすごく悪いことがある……こういうのが、僕はより怖いね。どういう事言ってるかわかる?感情的なことなんだよね。

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