HEROES: Kimi Raikkonen [Red Bulletin Jan 2010] vol.2

レッドブリテン1月号ロングインタビューのつづき。

RB: F1キャリアを振り返って、他人よりも上に評価する瞬間はある?
KR: F1では、全ての周回が大体同じようなことなんだ。雨だったら難しくなるけど、それ以外ではすぐにルーティンになる。ラリーでは、あらゆるコーナーや丘が、予想したものと違うかもしれない。たとえば、最近一番楽しかったことは、友達とスノースクーターで走り回ることだよ。あるひとつの瞬間を、この9年からピックアップすることは難しいね。
RB: 歴史的なこの瞬間はどう? キミ・ライコネン、ジャンカルロ・フィジケラを最終ラップでアウトサイドからオーバーテイクし、2005年日本グランプリに優勝。
KR: ああ、あれはすごくよかったな。

RB: 2009年のフェラーリは、負傷したマッサの代わりに入ったフィジケラが悪戦苦闘してたのを見るかぎり、本当にドライブしづらかったに違いないね? ルカ・バドエルは別としても。
KR: クルマは悪くはなかったんだよ。ただ十分なグリップがなかっただけで。ドライブするのは難しかったけど、2008年のよりは、2009年のフェラーリが好きだった。あまりひどくは対処しなかったけど[ライコネンは2009年ベルギーGPで優勝した]。だけど、あれでフィジケラは、2レースにつき10歳くらい老けたんじゃないかな?

RB: ニュートラルにバランスのとれたクルマを得られないとしたら、オーバーステアとアンダーステア[グリップがフロント寄り/リア寄り]、どっちが好き?
KR: アンダーステアを好きだと思ったことは一度もないね。

RB: どういう風になるか分からないとしたら、どうやってクルマをプッシュする?
KR: サーキットではタイムを失うだろうね。でもラリーでは、スペースをはみ出して、木にぶつかって終わりかな。

RB: モータースポーツではどのくらいコミュニケーションが必要になる?
KR: ドライバーとしては、ただ伝えることができないことが少しある。理解のレベルが完全に違うから、同じ基盤の上で空力エンジニアと話せるF1ドライバーなんていないよ。できるのは、自分の理想的な好みをレースエンジニアに伝えることだけ。メカニックも同じくらい重要だけど、彼らはエンジニアが伝えたことをやるからね。だから、コミュニケーションはチームの2, 3人に限られる。自分のインプットも、チームに依存する。

RB: ラリーでは、自分自身でクルマを直さなければならないこともあるかもしれない。どうやるのか分かる?
KR: エンジョイするよ。フィンランドでは、いつも自分の車を直していたんだ。バイクも自分でチューンするよ。指が汚れるのは全然悪いことじゃない。

RB: F1を生き抜くために、「Iceman」のイメージを促進した?
KR: ノー。「Iceman」はよく知られるようになったけどね。F1では、政治はエキサイティングなことの邪魔になる。ラリーの雰囲気は(F1より)すごくいいね。政治が関係することも少ない。ドライバーのパフォーマンスに比重がかかっている。

RB: 君はセレブリティだ、特にフィンランドでは。フィンランドの国技、ラリーに移ったいま、ヘルシンキの通りに出掛けるなんてことはしないんだろう?
KR: それは気にしないことにしてる。今より悪くなることなんてないだろうからね。対処する方法を学んだんだ。

RB: 君は兵役を果たした。何が一番難しかった?
KR: 最初の何ヶ月かはストレスを感じてた。いつも大声を出してたよ。終わる頃には、僕達は退屈して、ぷらぷらしてた。軍隊映画とは違って、早起きが一番サイアクだった。
RB: ラリードライバーも、しばしば早起きしなければならないよ?
KR: 分かってる。F1でも、時々はベッドから早く出なければならなかった。それは仕事の一部だよ。

RB: オフの間のお気に入りのおもちゃは?
KR: スノーモービル。ラップランドの周りを友達と一緒に乗るのはものすごく楽しい。モトクロスもいいね。

RB: 何がロードカーをよくすると思う?
KR: スペース。

RB: 最近トライしたスポーツは?
KR: フィットネストレーナーに勧められて、去年クライミングを始めた。楽しいよ。

RB: アイスホッケーのStanley Cupはどこが勝つと思う?
KR: San Jose Sharks

RB: オリンピックのスノーボードハーフパイプで、金メダルをとるのは?
KR: フィンランド人のために祈ってるけど、ショーン・ホワイトを倒すのは難しいだろうな。

RB: 次のWRCチャンピオンは?
KR: ロウブかヒルボネン。ロウブ。
RB: Moto GP?
KR: チームって大きく変わったの?
RB: いや。
KR: ロッシ。

RB: F1?
KR: 難しいな。僕はフェラーリの計画を知らない。メルセデスは多分いいクルマを用意してくるだろう。マクラーレンも。レッドブルもたぶんそう。だから、僕の好きな人物にタイトルをあげようかな。セバスチャン・ベッテル。彼はすごく現実的だ。
RB: 彼とはよく連絡を取り合うの?
KR: ヘイキ・コバライネン[フィンランド人同士]の方がよく知ってる。大体、僕はあまりF1の人とは接触しないんだ。時々ベッテルとはバドミントンで遊ぶよ。彼はスイスの僕の近所に引っ越してくるから、たぶんもう少し会う機会が増えると思う。

RB: 自分自身がF1カーに乗っていなければ、どのくらいF1に興味がある?
KR: 時々テレビでレースを見ると思う。多分モナコグランプリには行くかな。僕はいつでもF1ドライブに戻ることができるけど、F1ではたくさんの悪いことが起こっている。マニュファクチュアラーは撤退しているし。この話は、また今度しよう。

RB: 将来に目を向けよう。WRCタイトルは君にとってどんな意味がある?
KR: F1のタイトルより大きいだろうな。僕はいまスタートしたばかりで、そこに到達するには長い旅になることは感じ取れる。今まで誰も成し遂げた人はいない。これが、(WRCタイトルへの挑戦を)より面白くするんだろうね。

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